2020.12.07 00:00
英市場調査会社のユーロモニターインターナショナルがまとめた最新レポートで、全世界の旅行・観光業界の42%が新型コロナウイルスの流行を理由に国連の持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みを後退もしくは中止していることがわかった。一方で、消費者はコロナ禍で自身や企業の行動が環境に与える影響を強く意識するようになっており、事業者との乖離が浮き彫りになった。旅行・観光業界のSDGs対応は他業界に比べて後れを取っており、レポートは回復に向けた鍵として警鐘を鳴らしている。
7~10月に実施した調査によると、旅行先として海外より自宅の近くを選ぶ消費者は増加傾向にあり、76%が短・中期的に近場にシフトすると回答した。さらに海外から永続的に離れるとした人の21%が海外旅行を二度としないと答えており、CO2排出量の削減に高い意欲を示した。
移動が制限されたコロナ禍では、観光公害が解消されて自然本来の美しさを取り戻し、人々の行動が及ぼすインパクトを直視することとなった。こうした変化を受け、北欧など欧州では、デジタルを用いた変革や循環経済への転換などをより強化しているという。
ただ、旅行・観光業界のSDGsへの取り組みは、17の目標の中でも特に対応が求められている分野での後れが目立つ。たとえば、「つくる責任、つかう責任」(目標12)は、全産業平均の62.7%に対し、旅行・観光業界は46.2%にとどまった。
レポートでは、SDGsへの対応が競争力につながると捉えて経営計画に取り込んでいるスタートアップは増えているとし、「販売ボリュームや利益率を重視してきた伝統的な事業者より有利になる」と指摘している。
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