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社説 GoToトラベル 危機感とのずれが際立つ - 信濃毎日新聞

 7月27日〜8月20日に、政府の観光支援事業「GoToトラベル」を利用して宿泊した人は延べ420万人に上った―。

 赤羽一嘉国土交通相が速報値として公表した。西村康稔経済再生担当相は、きのうの衆院内閣委員会で、東京都発着の旅行を対象に加えるかどうか、9月に判断する考えを示した。

 6月下旬から続く新型コロナウイルスの感染拡大は峠を越したとの見方があるものの、高齢者らの重症化率、致死率は高止まりしている。医療機関にも重い負荷がかかったままだ。

 GoTo事業ありきで感染の広がりを助長すれば、経済活動の正常化はかえって望み難くなる。

 国が旅行代金の5割相当を補助するGoToトラベルは、新型コロナ収束後の消費喚起策として企画された。経済への打撃を抑えたい政府は予定を前倒し、7月22日に事業を開始した。

 第2波が襲っていた東京都を直前に除外するなど、制度設計はぶれ続けた。準備が万全でないままの見切り発車となった。

 事業に参加する宿泊施設は全体の半分にとどまり、地域によって効果に差が出ている。手続きが煩雑なこともあって、中小の施設に恩恵が届いていない。

 対象施設で感染者が確認されている。国交省は、全ての宿泊施設で感染対策の現地調査を実施するという。それだけの人員と費用を割いてまで、いま事業を続ける意味があるのだろうか。

 新型コロナの患者用に確保した病床の使用率は、7都府県で40%を超えた。沖縄が85%、福岡が63%、滋賀が52%と高い。

 安倍政権には、これらの府県を事業から除外する気配はない。飲食業界を支援する「GoToイート」も9月中に始めようとの声さえ聞こえてくる。

 政府が優先すべきは、検査能力を高め、医療機関の経営を支え、安定した医療提供体制の整備を全国で進めることだ。GoTo事業は、国民が安心して活動できる状況になって、本来の効果を期待できるのではないか。制度の不備は改めておきたい。

 厚生労働省は、新型コロナの感染症法上の分類を見直す構えでいる。現在は危険度が2番目に高い「2類相当」であるのを、インフルエンザと同じ5類に引き下げる案が取り沙汰されている。

 公費負担の入院措置を軽減したい行政の事情も透ける。現状を直視しない政策の独り歩きは、国民の不安を高めるだけだ。

(8月27日)

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