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トラベルバブルとは?「近隣の域内旅行」モデルの展望:概念や先行事例、日本における候補国について考察 - 訪日ラボ

新型コロナウイルスの流行を受け、国同士の行き来が制限されたことは、インバウンド業界にとって大きな打撃となりました。

インバウンド業界が冷え込む中、各国はその解決策を模索しています。その一つが「トラベルバブル」という構想です。新型コロナウイルスの流行をきっかけに広まったこの構想は、まだ新しくその概要や事例が少ないのも現実です。

本記事ではトラベルバブルの概要について解説しながら、その事例やトラベルバブル構築後に向けた具体的な対策例について紹介します。

トラベルバブルの概要と事例

トラベルバブルは新しい構想ではありますが、すでにトラブルバブルの構築に取り組む国もあり、世界中へと広まりを見せています。最初にトラベルバブルの概要や事例について紹介します。

トラベルバブルとは?

トラベルバブル(travel bubble)とは、社会的、経済的に強い結びつきを持ち、かつ新型コロナウイルスが収束している隣国同士で、感染予防をしつつ渡航禁止の解除等を実施する取り組みです。ニュージーランドで「Stay Home」の代わりに使われている「Stay in your bubble」という言葉も少なからず関係しています。

トラベルバブルは、取り組みを実施する国同士を、外気を遮断する泡に例え、他のエリアからの新型コロナウイルスなどのウイルスがエリア内に流入しない様子をあらわしています。

日本語では「近隣の域内旅行」と表現され、この取り組みを足掛かりに、隣国以外からの新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎながら、旅行の選択肢を広げられると期待されています。

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トラベルバブルの事例

トラブルバブルはすでに世界で広がりを見せています。バルト三国として知られるエストニア、ラトビア、リトアニアでは、5月15日から三国の国民に限り三国内の移動が緩和されました。

言葉の由来となったニュージーランドとその隣国オーストラリアでも、トラブルバブル実施に向けて話し合いが進められています。

2019年時点で、ニュージーランドにおける外国人観光客の約40%をオーストラリアが占めていたことから、4月中旬にニュージーランド側からオーストラリアへ構想を持ち掛けました。

オーストラリア側は当初ためらいを見せたものの、半月後の5月5日に両国民同士が自由に行き来が可能となる「トランスタスマンバブル(trans-Tasman bubble)」を発表しました。

これは、2019年のオーストラリアを訪れる外国人観光客全体に占めるニュージーランドのシェアが15%であり、両国にとってお互いがインバウンドにおける大きなマーケットであることが考慮された結果といえます。しかしながら、この構想の実現についての見通しはまだ立っていません。

香港でもトラベルバブルの提言

香港政府観光局(HKTB)の程鼎一(デーン・チェン)総幹事(事務局長)も政府にトラベルバブルの構築を提言しています。

香港政府観光局は新型コロナウイルス収束後の観光業復興計画を公表しました。そのなかで程氏は韓国、タイ、中国本土のようなアジア地域のトラブルバブル構築の検討を香港政府に提言したと打ち明けており、アジアでもトラブルバブルの構築が進むことが予想されます。

日本におけるトラベルバブル

世界でトラベルバブルの構築が進められるなか、日本を視点にその構想を考えた場合、中国や台湾、韓国がトラベルバブルの候補となるのではないでしょうか。特に中国は訪日需要も高く、中国とのトラベルバブルの構築は、インバウンド業界復興の足掛かりとなるかもしれません。

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日本のトラベルバブルの候補国は

日本の隣国として真っ先に思い浮かぶのは中国、台湾、韓国でしょう。同国は訪日外国人客数においても非常に大きな割合を占めていることから、トラベルバブル構築の対象国となりえます。

しかし、韓国は日韓関係悪化の影響で訪日客が減少しています。さらに、新型コロナウイルスの影響を受け、感染拡大初期の段階からビザの発給が停止されたことで両国の関係は冷え込んでおり、訪日需要がさらに減少する恐れがあります。

台湾は訪日リピーター率が高く、政治・経済・天災のリスクが比較的少なく、本来であれば安定的に訪日客が見込める市場の一つです。しかし、日本の立場における中国への配慮から、中国を差し置いて門戸を広げることは難しいでしょう。

最後に、中国のトラベルバブル候補国としての可能性について検討してみます。2020年に入ってからは新型コロナウイルスの影響で大幅に数が減っているものの、2019年は訪日外国人客数の30%以上を中国人が占めており、アフターコロナにおいても日本にとって中国は「最大の顧客」であることに変わりありません。トラベルバブルを構築する上では、まずは中国との関係構築が期待されるところです。

アフターコロナの中国の訪日需要

中国とのトラベルバブル構築がインバウンド復興へ大きな役割を果たすことは、中国の訪日需要の高さからもうかがえます。日本インバウンドメディア・コンソーシアム(JIMC)が実施した中国人の訪日旅行に対する意識調査において、海外旅行先の人気ランキングで日本が1位となりました。

Trip.comが実施した調査では、「海外旅行で行きたい目的地ランキング」において、日本は2位という結果でした。加えて、中国では外出自粛等の反動で購買意欲が急激に高まる「リベンジ消費」の事例が見られています。

中国人の訪日意欲の高さを鑑みると、トラベルバブル構築により海外旅行が解禁されることで、多くの中国人の訪日や日本でのリベンジ消費が起こることが予測されます。

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訪日中国人を誘致するための施策

トラベルバブルの構築を見据えアフターコロナの中国人の訪日需要に応えるためには、早めの対策が必須です。本記事では具体的に3つの対策に焦点を当て、新型コロナウイルスの今だからこそ実施できる取り組みを紹介します。

情報発信

訪日中国人を誘致するための施策として、1つ目に、積極的な情報発信が挙げられます。

インターネットが発達したことで新しい情報が簡単に手に入れられるようになりましたが、そのなかでも旅行情報は日に日に変わっていくことから常に情報発信をすることが大切です。

特に新型コロナウイルスの影響で各国の感染状況や対策が一朝一夕に変わっていくことから、常に新しい情報を発信していくことが求められます。

また、より多くの中国人に効率よく情報を届けるために、情報発信をするにあたって日本で使われているプラットフォームではなく、中国で広く使われている手段を用いる等、発信方法の工夫も必要不可欠です。

電子決済の導入

今や中国では決済のキャッシュレス決済率が60%とも言われており、電子決済が主流です。電子決済とは、日本で身近に使われているものではクレジットカードや交通系ICカードが挙げられます。さらにここ数年で急激に使われるようになってきたQRコード決済も電子決済の一つです。

電子決済は導入するにあたって、システムの導入や機器の導入という事前準備が必要です。また、慣れていない方であれば機器の操作方法に慣れなければなりません。トラブルバブルの開始後に対応できるよう、新型コロナウイルスの影響で訪日中国人観光客が減少している今を契機と捉え、早めの導入の検討が不可欠です。

また、導入する際には中国で普及している「微信支付(WeChat Pay)」や「支付宝Alipay)」といった決済方法に対応したものを導入する必要があります。

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国内の「安心・安全」を示す

先に紹介したように、中国人の人気旅行先として日本が1位に選ばれました。その一方で、同調査において、新型コロナウイルスの収束後日本に旅行することについて、中国政府や日本政府が安全宣言を出したら行くと答えた人が全体の58%を超えています。

この結果から、日本に旅行をする際には安心・安全が重要な鍵を握ることがうかがえます。国としてだけでなく、各企業や店舗においても、施設において主に衛生面での安心・安全を示せるかが判断基準の一つといえます。

具体的には、従業員のマスクの装着やアルコール消毒の徹底に挙げられるような対策はもちろんのこと、店内のソーシャルディスタンスの確保といった対策も考えられます。

トラベルバブルでインバウンド需要の回復が期待される

日本国内においても全国で緊急事態宣言が解除され、徐々に経済活動が再開していますが、観光業においてはインバウンドの回復が大きな意義を持ちます。

その足掛かりとして重要な一歩となるのが、トラベルバブルです。新型コロナウイルスの影響で世界的に海外旅行を控えざるを得ない状況のなか、トラベルバブルを構築することで限定的に国を越えた移動が再開しつつあります。

本記事では、日本における有力なトラブルバブルの候補国の一つとして、中国を紹介しました。

中国は新型コロナウイルスの流行前から日本のインバウンド業界に大きな利益をもたらしていましたが、新型コロナウイルス終息後においても変わらず訪日意欲が高いことが明らかになっており、中国の訪日需要に応える戦略を打ち出すことが重要となります。

アフターコロナを見据えたインバウンド施策であるトラベルバブルなど、近隣諸国の誘致活動がより活発になることが予想されます。旅マエの情報発信や電子決済の導入などの受け入れる準備を、確実に進めていくとよいでしょう。

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July 02, 2020 at 05:32AM
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